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オークションを体験!実物を確認できる下見会で準備万端
~オークション体験レポート 準備編~

案内人:ジュエリーコンシェルジュ 原田信之
宝石の鑑定に資格はありません。経験が問われます。私の場合はバイヤーとしてのキャリアがベースです。これまでに買い付けでに訪問した国は18カ国。例えば、ダイヤモンドならベルギーのアントワープ、イスラエルのテルアビブ、インドのムンバイ、ニューヨーク、バンコクなど。特にアントワープには100回を超える買い付けを行っています。買い付けで常に時価を押さえ、ジュエリーの製作業務から製造コストに精通し、卸業務を通じて流通価格を認識しています。また10年間オークション会社の査定を請け負っていましたので再流通市場での相場も把握しています。全ての知識を結集して「価値に見合った価格」を設定しています。
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体験者:編集・ライター 宮坂敦子
幼い頃からの手作り好きが高じて彫金学校に通ったことをきっかけにジュエリーの世界へ。著書『ジュエリーの基本ブック』(誠文堂新光社)など。ジュエリー業界の職種の垣根を飛び越えて、学び、交流するコミュニティ・ジュエリー研究会ムスブ主宰

公開の場で競り合い。最高価格をつけた人が落札

オークションと聞いて思い浮かべるものは何ですか?
タキシード、ドレス、目まぐるしく上がる札、落札を知らせるハンマー音、喧噪、怒号……わたしの場合、こんなところです。あくまでもイメージですが。

オークションの歴史は紀元前500年にまで遡るといわれています。初期は戦利品や捕虜などが掛けられましたが、しだいに美術品や遺品などが出品されるようになり、18世紀末、産業革命の成功で沸き立つイギリスで一気に広がりました。
「公開の場で競り合い、最高価格をつけた人が買い手になる」というオークションの基本理念は、シンプルかつ公平で透明性が非常に高く、人間の英知が生み出した売買システムの極みと言えるでしょう。

ジュエリーコンシェルジュ ワンポイントアドバイス

「オークションはプロだけが出入りできる特別なものだと思っている方が多いですが、ちっともそんなことはありません。欧米では宝石を買う場としてごく普通です。香港のオークションではプライベート(注:オークション用語で一般人のこと。プロはトレードという)のほうが多いですよ」

本当かしら。その疑念を晴らすべく、2月27日開催の「第496回毎日オークションジュエリー&ウォッチ」に参加させていただきました。

すごく安く入手できるかも? 注目の「成り行き」

まずはオークションのカタログを入手します。初回はサンプルとしてカタログは無料、2回目以降は会員登録が必要です。「ジュエリー&ウォッチ会員」の会費は年6冊のカタログと各回のオークション入場券のほか、出品料無料などの特典がついて年間12,000円。カタログは毎回、開催日の10日ほど前に手元へ届きます。

カタログを見て驚きました。出品作品の多彩なこと綺麗なこと。ダイヤモンドの裸石から、珊瑚や真珠のネックレス、エメラルドやオパール、スターサファイアの指輪、BVLGARI、TIFFANY&Co.、CHANEL、GRAFFといったブランド品まで、まるでジュエリーの通販カタログのようです。

価格もお手頃なものから載っていて、たとえばp950のメレダイヤモンドのネックレス(総1ct)は¥60,000~80,000。この価格は予想落札価格で、入札者が競り合うデットヒートとなればもちろん大幅に高値で落札されます。

落札価格が「成り行き」となっているものは、最低落札価格の設定ナシということ。だいたい1万円から競りは始まり、他にライバルがいなければ1万円で落札できるという、極めてお値打ち価格になりうる注目品です。

支払いはこの落札金額に手数料(落札価格50万円までは16.2%)がプラスされます。たとえば、10万円の作品を落札した場合は16,200円が手数料となる仕組み。消費税はこの16.2%に含まれていて、別途不要です。支払い方法は現金か銀行振り込み、デビットカード、銀聯カードになります。

カタログの全ページをくまなく見た結果、わたしの狙いは「成り行き」のファイアオパールダイヤモンドリングに決めました。そのほかにも気になる作品がたくさん。そのひとつひとつに目印のフセンをペタペタ貼り付け、いざ、カタログ持参で下見会へ。さあ、現物にご対面です。

実物を手に取り、心ゆくまでチェックできる「下見会」

下見会はオークション会場と同じ、国際展示場駅(東京都江東区)から徒歩5分、TOC有明で開催されます。エレベーターの扉が開いた瞬間から会場内が一望でき、ズラリと並ぶショーケースを前に興奮が高まります。

とはいえ、チェックは冷静に。ルーペで宝石を見ると、カタログ写真だけでは分からなかったクラックやインクルージョンが見つかりました。

逆に、写真より現物のほうが魅力的な作品も。パライバトルマリンのペンダント(落札予想価格100万~150万円)は、実際に着けると透明なネオンブルーが眩しいほど。こうしていろいろなジュエリーを次々と手に取って見たり着けたりする体験は、自分に似合う色や形を学ぶ絶好の機会になります。

ジュエリーコンシェルジュ ワンポイントアドバイス

「このルビー(手で指す)はビルマの非加熱ですね。お隣のルビーと比べると、石の透明度が全然違うでしょう? ルビーは加熱を加えると黒味は抜けますが、透明度が下がります。宝石はやっぱり透明度が命です」

ふむふむ、なるほど。ケースの中にズラリと並んだルビーを比べてみると、色や透明度には一つ一つ個性があり、宝石は自然が生み出したものということがよくわかります。

そして、順番に現物とカタログの落札価格との見比べを続けると、「この石よりこの石のほうが綺麗(=落札価格が高い)」の正解率が上がる手ごたえが。スターサファイアやクリソベリルキャッツアイは、ライトを真上にかざしたときの星や猫目の出方の違い、大きい小さいやくっきりボンヤリが明快です。これは宝石の善し悪しを感覚で学ぶ機会にもなると思いました。

ジュエリーコンシェルジュ ワンポイントアドバイス

「今、不要になったジュエリーを買い取り屋さんに売られる方が多いですが、買い取り屋さんでは言い値で買い取られたらおしまいですよね。オークションに出品すれば、価格が伸びる可能性もあります」

オークションの落札価格は市場価値と連動しているため、その宝石やデザインがブームのときは一気に高値になるが、ブームが終わると全然落札されなくなることもあるそうです。大きな色石や真珠が信じられない値段で落とせることも多いですよ、という原田の言葉に、いやはやがぜん本番が楽しみになってきました。

遠方に住む人はなかなか下見会まで参加できないかと思いますが、ご安心ください。電話やFAXでカタログからは分からない情報、たとえば、石にキズやインクルージョンはあるか、指輪のサイズは何号かといった客観的な情報を尋ねることができます。(回答は調査後、折り返し連絡)